犬の避妊は本当に必要?知っておきたい手術のリスク

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避妊手術をすべきかについてのご相談をたびたびいただきます。
何度かブログ等で書いてきたのですが、本稿でも少し私なりの見解を述べたいと思います。

結論から言いますと、それぞれメリット、デメリットはありますので、飼い主様の慎重な判断のうえで行ったものについては良い、悪いは判断できません。

ただし、いろんな人がいろんな立場で作為的に意見を言われる事はありますし、それらを鵜呑みにして、後々後悔されるものどうかと思いますので、事前にご相談いただいた方には下記のような事をお伝えしています。

 

 

 

避妊による病気等の予防について

これについては、私は少し懐疑的に見ています。

例えば多くの獣医さんが病気予防にあげられる「乳腺腫瘍」について。
これについてはまず、避妊しない場合の発症率はどの程度なのかを見なければ判断がつきません。

発症率についてはさまざまなデータがあります。
あるサイトでは約52%なんていうちょっと信じられないデータを出していますが、これは論文等の出所が不明ですし、そもそもそんなに高ければ種としてすでに絶滅しているように思います。
出所がしっかりしたものですと、日本臨床獣医学フォーラムという所が10万頭につき198.8頭(約0.2%)というデータを出しています。
どのデータに信憑性を置くかなのですが、仮に後者を採用すると500頭に1頭という発症率を高いとみるか低いとみるかです。

ただ、病気は確率が低ければ低いほど安心だと思いますので、「避妊をすれば発症率は限りなく0に近づきますよ」と言われれば、飼い主様としては納得してしまいそうです。
でも、実はここからが問題で、避妊手術を行ううえでの臨床的デメリットをきちんと伝えていない獣医さんが非常に多いと思っています。

まずは、麻酔のリスク。
1992年にアメリカのドッドマンという人が発表した報告では、まったく健康な犬の麻酔での死亡率は0.11%との事です。
さきほど乳腺腫瘍の発症率が0.2%と引用しましたが、乳腺腫瘍を発症したとしても早期発見、適切治療で完治する可能性は高いです。
発症率と麻酔の死亡率を天秤にかければ・・・
ましてや多くの獣医さんがすすめられる生後6カ月のまだ成長段階にある子犬に対してですからね。

次に、避妊をしてしまうと女性ホルモンが極端に減少してしまいます。
これについての弊害は多々出てくるはずです。人間の女性が加齢とともに女性ホルモンの分泌量が減って更年期障害になる事を考えると想像はつきますよね。

ただし、出所はちょっと分かりませんが、避妊をする事で性的ストレスから解放されて、平均寿命が長くなったというデータもあるようです。
このあたりが本当ならば一考の余地はありますが、昨今は医療技術も発展してますし、フード自体も品質が良くなっている背景を考えると、それだけをとらえて寿命が延びたという根拠はちょっと弱い気もします。

多くのブリーダーさんの経験則ですが、成長期に避妊をしてしまうと本来の犬種特有の美しさ(毛並みや体のラインなど)が出ないといます。
ショーラインの子犬などは、もともと受け継がれた犬種本来の魅力も購入動機にあったと思います。避妊手術でそれらをなくしてしまうのはすごく勿体ない気もいたします。
ちなみに去勢、避妊をした子はどんなにすばらしい子でもドッグショーには出陳できません。

また、一般的に避妊をすると肥満になりやすいといいますよね。
肥満に起因する病気はかなりの数にのぼりますので、それらのリスクを加味すると、

「避妊をする事で病気の発症率が低くなる」

というのは、ある一面に対して効果があるという事にすぎず、私にはどうしても「木を見て森を見ず」という論理に思えてなりません。
獣医さんにはこのあたりまでしっかりと飼い主様へ説明していただきたいものです。

尚、ご参考までにあくまでも営利がからまない、第三者的に検証した論文を見つける事ができましたので、ここにご紹介させていただきます。
メリットもありますが、デメリットも非常に多い事に驚かされます。

◆ニュージャージー州立ラトガーズ大学 准教授 獣医学部門総括教授 Larry S. Katz PhD(博士)
論文の日本語訳はこちら

 

人間との共生を考えた側面について

私が避妊手術は飼い主様の判断で・・・とお伝えするのは主にこの部分になります。

まず、避妊を行わないと当然半年に1度はヒート(生理)が来ます。
単純にその手間がという事もありますが、ご近所に元気なオス犬ちゃんがいたりすると、さかりがついた状態になって迷惑がかかるかもしれません。
また、外出時はいろんな場所で立ち入り制限が出てきますので、そのあたりは神経を使うかもしれませんよね。

次に「望まれない妊娠」という観点です。
各自治体が補助金を出してまで避妊を推進するのは「捨て犬」を減らすためです。
私も安易に素人交配を行うべきではないと思いますし、みなさんもそのあたりは同意いただけると思います。

現在は室内飼いも多くなりましたし、外飼いでもきちんと管理されるようになりましので、昔のように「知らないうちに子供が出来ていた・・・」という事はかなり少なくなりました。
ただし、避妊を行わない以上、「望まれない妊娠」というリスクはゼロではありませんので、最悪の事態は想定しておく必要はあります。
そのあたりのリスクを受け入れられないのであれば避妊は行うべきだと思います。

以上、病気の観点と人間との共生という観点で避妊についてお話ししました。

最終的に私が思う事なのですが、
避妊はメリット、デメリットをみなさんそれぞれの環境を考慮して判断していただきたいのですが、避妊を行うにしても子犬が十分成長した1歳半~2歳まで待った方が良いのでは?と思っています。

賢い飼い主の判断として、ある一部分の側面や偏った意見に惑わされるのではなく、いろんな観点から判断したいですよね。

 

 

 


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原田伸一

これまで200匹以上の優秀血統ボストンテリアの子犬を仲介販売し、その後の多くの育児相談を行いながら成長を見守る。日本でもトップレベルのブリーダーとも懇意であり、長年のゴマスリによる信頼度は厚い。明太子は永遠の友。 ・ブランシアン代表・日本ペット通販振興会チーフコンサルタント

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