
春のきざしが色濃くなってきた今日この頃、わんこにとっても外遊びが楽しい季節になって来ましたね。
そうすると気になるのがノミ・ダニ予防についてですが、特にフロントラインをはじめとするノミ・ダニ駆除薬の安全性についてのご相談もちらほらお受けするのもこの時期だったりします。
実は今朝がたもボストンテリアの飼い主さんからご相談のお電話がありましたので、筆者原田の見解を少し書きたいと思います。
アレルギーと診断された子をよくよく調べてみると・・・
以前このような事がありました。
あるボストンテリアの飼い主さんからのご相談です。
今まで特に何か病気になる事もなかった元気な子だったのですが、ある日突然皮膚に湿疹のようなものが複数発生しました。
その時は、獣医さんはアレルギーだろうという事でステロイドを処方、一旦は治まったのですが、その後定期的に発症するようになったとの事。
獣医さんは「体質ですから」と、お決まりの逃げ口上で実は原因がよく分らないというお悩みだったんですね。
今まで健康優良児だった子ですから当然原因があるわけです。
そこで、ひとつずつ原因となりそうなものをヒアリングいたしました。食事やシャンプー、果てはストレスまで・・・
で、最終的にフロントラインを使用してしばらく経つと発症する事が分かりました。
実は飼い主さんも薄々疑っていたわけですが、獣医さんからはあっさり否定されていたんですね。
まぁ、獣医さんも自分で処方したものに原因があるとはなかなか言えなかったのでしょう。
もっとも、フロントラインの副作用と断定する化学的根拠はありませんのでここでは状況だけをお伝えしますが、結果としてフロントラインの使用をやめてもらったところ、その後同様の発症は無くなったとの事です。
本当は怖い?農薬に使われている成分
私はそれ以来、お客様をはじめとした飼い主さんにはノミ・ダニ駆除薬はおすすめしていないのですが、その理由は単にこういう事例があったからだけではないのです。
よく言われているのは、フロントラインに含まれているフィプロニルという薬品ですね。
フィプロニルというのは広く農薬として使用されている成分で、その特徴として持続性が高い(残留性が高い)という事があげられます。
おそらくそれによってフロントラインの効果も1か月ほど続くのだと思いますが、欧州ではフィプロニルを使った農薬は持続性が高いためにミツバチの大量死につながるとしてEU加盟国の中では一部使用の禁止がなされている薬剤でもあるのです。
まぁ、難しい事を書き連ねても余計に分かりづらくなるのでここでは割愛しますが、単純に私などはフロントラインのホームページに書かれている使用上の注意を見て「こりゃダメだ」と判断したわけです。
その内容とは?
そのまま転記するのはいろいろ問題があると思うのでかいつまんで書きますと、
【使用者(人間)に対する注意】
・直接手でさわらない事
・投与部位は完全に乾くまでさわらない事
・皮膚に内用液が付着した場合、一過性の皮膚反応が起こる事があるので必ず洗い流す事
など
人が直接手でさわれない物を同じ動物である犬の皮膚に使うのか?
という事ですね。
もっともホームページ上にはちゃんと犬に対する皮膚疾患などの副作用も明記されていますので、いちおう製薬会社としての義務は果たしているという事でしょうか。
じゃあ、ノミ・ダニの予防はどうすればいいの?
確かに、単純なノミ・ダニ駆除という効果だけを見ればフロントライン等の薬剤はかなり優秀です。
ですので、本当に緊急を要する場合や、ノミ・ダニ駆除が最優先される状況下では必要だと思います。
でも、圧倒的に多いのは「予防」という観点からの使用だと思います。単なる予防だけならここまで副作用等のリスクを冒すのもちょっと違うような気がしますよね。
そこで、じゃあどうするればいいの?
という事なのですが、外遊びの間だけという割り切りでしたら、天然のハーブ等を使った虫よけスプレーでもそれなりに効果はあります。
また、帰宅後にはきちんとブラッシングをしてあげる事で、ノミなどはある程度落ちますし、マダニがくっついていたりしても発見できますよね。
それでも心配なら、以前紹介したヒバ油の沐浴もおすすめです。
少し手間はかかるかもしれませんが、劇薬に頼らなくても出来る事はたくさんありますよね。
皮膚疾患やアレルギー防止のためのノミ・ダニ駆除が逆に皮膚疾患をまねいてしまったら、ほんと、なんのこっちゃですからね。
効果のある薬品ほど副作用もあるという認識のもと、慎重に考えてあげたいものです。

原田伸一

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